受験生とゲストのみなさまへ

2023年03月20日

第3学期終業式あいさつ

 生徒の皆さん、おはようございます。本日、3学期の終業式を迎えました。皆さんは、中学校・高校に入学して、1年もしくは2年間の学校生活を終えようとしています。

 皆さんには、ぜひ、今後の学校生活の中で、自分の将来に向けて、社会とどうつながりを持っていくか、ということを意識してほしいと思います。今日は、皆さんと同世代で、それを実践している人のお話を紹介したいと思います。

 皆さんは、川崎レナさんという人を知っていますか。川崎さんは大阪のインターナショナルスクールに通う17歳の高校生です。川崎さんは昨年11月、「国際子ども平和賞」を受賞しました。46か国、175名を超える候補者の中から選出されたのですが、日本人としては初の受賞です。過去のこの賞の受賞者には、イスラム過激派に銃撃されながらも女性の教育の必要性を訴え続けたパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんがいます。マララさんはその後、17歳のときにノーベル平和賞を受賞しました。

 川崎さんは、「自分の生まれた国、変わりそうにない日本に誇りを持てないことが悔しい」という思いから行動を起こし、若者の声を社会に届ける活動が評価されました。

 活動のきっかけは、8歳のときに学校の図書館で出会った1冊の写真絵本「ランドセルは海を越えて」でした。日本で使わなくなったランドセルをアフガニスタンの子どもたちに届けている活動を紹介した本です。建物が破壊され、ランドセルを机代わりに地面で教育を受けている子どもたちを見て、世界には政治的な事情で教育を受けられない子どもたちがいることを初めて知った川崎さん。自分たちも何かできないかと、文化祭でクラスのみんなと協力して作った文具やポストカードを販売して、売り上げを難民キャンプに送りました。

 その後、インターネットで、アメリカで環境問題や人権問題に取り組む、市民団体「アース・ガーディアンズ」の活動を知ります。政府に若者の声を届ける活動をしている、現地の若者たちと、インターンシップで交流を重ねます。そして、「アース・ガーディアンズ」の日本支部を14歳のときに立ち上げました。

 

 現在は、11歳から18歳まで、全国約50名の仲間とともに、オンラインで中高生と地域の政治家が意見を交わす場を作り、若者の声を届けるという活動に取り組んでいます。川崎さんはこのように言います。「ワクワクという感情がすごく大切だなと思っているんです。何かに対して楽しくて、これをしたいという感情こそが、いちばんサステナブル(持続的)なのではないでしょうか」「こういう社会をもしかしたら作れるかもしれない、というような意見が、社会に変化を起こすきっかけになるかもしれません。そして実際に声が反映されて、人が動き、変わっていくのは、とてもワクワクすることです。若者の声が実際に行政に反映され、それを見て誰かが、私も声を届けてみよう、とつながっていくシステムを作っていきたいです」

 どうでしょうか。いろんな角度から社会問題の解決のために活動を行っている川崎さんの事例から、ぜひ皆さんも、刺激を受けてほしいと思います。Z世代の「デジタルネイティブ」の皆さんには、行動を起こすチャンスが無限に広がっています。社会の課題について学び知ることで、視野を広げ、自分たちで社会を変えようとする前向きな問題意識を持ち続けてください。社会とつながるワクワクする気持ちを持ってください。

 

 4月になれば、皆さんはそれぞれ学年が一つ上がります。高校2年生は、いよいよ大学受験に挑む1年となります。この春休み、ぜひ自分の進路について、自分の将来をイメージしながら考えてほしいと思います。

その他の学年の生徒の皆さんも、新学期にいいスタートが切れるように、春休みにしっかり準備をしてください。

 以上で、3学期終業式にあたっての私の話を終わります。ありがとうございました。