受験生とゲストのみなさまへ

2025年01月7日

2024年度 三学期始業式あいさつ

 生徒のみなさん、おはようございます。新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 本日3学期の始業式を迎えました。お正月は、家族や友だちと充実した時間を過ごせましたか。

 突然ですが、みなさんは「蔦屋重三郎」という人物を知っていますか。この名前を、今年これから耳にすることが多いかもしれません。江戸時代中期の商人で、今年の大河ドラマの主人公です。みなさんがよく知っている“TSUTAYA”の店名の由来になったとも言われています。

 蔦屋重三郎、通称蔦重は江戸文化の仕掛け人となった人物です。当時の江戸は、老中田沼意次の経済政策で生まれた自由な空気の中、文化が花開いた時代です。

 蔦重は、江戸幕府公認の社交の場、吉原で生まれ育ちました。最初は貸し本業で身を興し、苦労しながらも版元の権利を得ます。蔦重は編集者として幅広い人脈とネットワークを活かして、次々に本を出版し、ヒットを連発します。当時、江戸の人たちの識字率は高く、庶民の間でも娯楽の本は流行していました。蔦重は、しゃれや風刺の効いた絵物語、現代のマンガにあたる「黄表紙」を流行らせました。ところが、次の老中となった松平定信の質素倹約、寛政の改革で出版統制の対象となり、蔦重は財産の半分を没収されてしまいます。

 蔦重はくじけずに、次に浮世絵に目を付けます。美人画の喜多川歌麿を、そして役者絵の東洲斎写楽を見出し、プロデュースします。その後、蔦重は48歳でこの世を去りますが、蔦重のもとにいた滝沢馬琴(「南総里見八犬伝」の作者)や浮世絵の葛飾北斎が活躍します。

 蔦重は江戸文化の流行の最前線を作り出し、その後の日本文化の礎を築く若き才能たちを世に送り出し、江戸のメディア王として歴史に名を残しました。ちなみに大河ドラマでは横浜流星さんが蔦重を演じています。ぜひ蔦屋重三郎の名前を覚えておいてください。

 

 3学期は、中学1年生から高校2年生の生徒のみなさんにとっては、1年間の学習の総仕上げの時期であり、また次の学年への準備期間となります。日数的には少ないですが、そのことを念頭に置いて日々を過ごしてください。

 高校2年生のみなさんは、4月からは、自分の進路を決める大学入試の受験生となります。つまり、この3学期は高3の0学期という位置づけとなります。そういう意識で3学期の学校生活を送ってください。

 中学3年生のみなさんは、高校のコースが最終的に決定する試験を2月に控えています。この1ヶ月、悔いを残さないように、目的意識を持って取り組んでください。

 高校3年生のみなさん、いよいよ約10日後に大学入学共通テストが実施され、引き続き私立大学と国公立大学の一般選抜が実施されます。最後まで、あきらめずに努力を続けてください。みなさんの周りには一緒に受験をする仲間がいます。サポートをしてくれる家族・学校の先生がついています。ぜひ平常心で、いつものルーティーンを崩さず入試を迎えてください。

 終わりに、1月・2月は、インフルエンザがいつまた流行するかわかりませんので、規則正しい生活を心掛け、体調管理にはこれまで以上に気を配ってください。

三学期始業式にあたり、私の話は以上です。ありがとうございました。