2018年03月6日
前回、国大協が英語の外部試験の配点を1割以下に抑えようとしたガイドラインを出した
朝日新聞の記事を紹介しました。
国大協はなぜこれほど外部試験に拒否反応を示しているのか。
新聞記事では、その理由などは記されていませんでしたので、想像するほかはないのです
が、例えば、国立大学におられる英語教育の専門家が一連の英語政策の転換をどのように
評価されているかを見ると、自ずとその理由が明らかになります。
例えばそのうちの1冊が、上記(写真)の本です。著者の東京大学文学部の阿部准教授は、
まずこの政策がいかに根拠のないままに進められてきたかを指摘し、特に外部試験が導入
された場合、莫大な利益を得る民間業者が、その導入の検討会議のメンバーであったことに
も強い異議をとなえておられます。議事録にさかのぼって調べてみると、そのような意見は
出たものの、その意見が決定に反映されることはなかったようです。
そうしてこうした英語政策が、いったいどのような実害を及ぼすかについて、以下の3点を指
摘しておられます。
1 受験生は無駄な出費を強いられ、格差も生まれます。
2 試験は不適切です。
3 「英語能力」は落ちます。
(『史上最悪の英語政策』46ページ)
巷に流布している4技能礼賛とは全く違う阿部氏の見解。その中身について、次回、もう少
し詳しく見ていきたいと思います。
福力