受験生とゲストのみなさまへ

2018年07月31日

高校3年生1学期終業式

  

 

今日は、高校3年生の1学期終業式でした。
私が終業式で取りあげたのは、山口県の萩市にある反射炉(上の写真)です。
この反射炉は幕末に長州藩の侍たちが、佐賀藩の反射炉を真似てつくったもの
の、実際にはおそらく稼働しなかったと推定されています。
細部をよく見ると、安山岩と耐火煉瓦をひとつひとつ積み上げていった手作り感
満載の反射炉です。日本に現存する反射炉は、これ以外には、韮山(静岡県)の
反射炉があるのみ。
西洋式の大砲をつくるには、鉄を溶解させて鋳造する必要があったのですが、当時
の侍たちは、大した知識もないままに、工夫に工夫を重ねてこの反射炉をつくりあ
げたのでした。反射炉は稼働しなかったものの、古を振り返るには、とても味のあ
る建造物ではないでしょうか。
しかもこの稼働しなかった反射炉は、世界文化遺産に登録されているのです。
稼働しなかったのに何故でしょう、と高3生に問いかけました。

その答えは、稼働はしなかったが、日本の近代化がどのように進んでいったのかを、
物語る重要なプロセスの生き証人として、登録されたのだということでした。
明治維新から、今年でちょうど150年。その歩みは、決して順風満帆なものではなか
った、むしろ失敗の連続の末に、日本の近代化は成った、と言えます。
受験生である高3生も、試験を受けるたびに、「失敗した」「だめだった」というこ
とが数多くあることと思います。その小さな挫折に負けずに、この夏を乗り切ってほ
しいと願っています。
福力