受験生とゲストのみなさまへ

2019年05月25日

話題の本

  

 

千代田区立麹町中学校校長の工藤先生が書かれた話題の本を読みました。
勉強になること、なるほどと思うところが沢山あり、本のページの上には、たちまち多く
の付箋がつきました。
工藤先生がこの本で一貫して述べられているのは、「学校は何のためにあるのか」という
問いで、先生のこれに対する答えは「生徒を社会の中で自律した存在に育てるため」とい
う明確なものです。それゆえ、その目的に沿って、「これまでやってきたから」という理
由だけで行われてきた学校のさまざまな制度やしくみを見直すということなのです。
他の組織はどうかわからないのですが、学校という組織は、とかく「前年度踏襲」が行わ
れがちなところが否定できません。しかし、そこであえて「○○は何のため?」と問い、本
来の目的にあわせて制度を修正したり、場合によっては廃止したりすべきだと工藤先生は
おっしゃっておられます。
教員が、手をかけすぎて子どもたちの自律をかえって阻害してしまうおそれがあるという
指摘もありました。例えば、生徒同士のトラブルをどう解決していくかということについ
ての、次のような指摘です。

 

「教員の多くは、早期に、表面的に、仲直りをさせようとしがちです。結果として、子ども
 は対立を自力で解決する力を失い、対立が起きたときに「誰かが何とかしてくれる」と考
 えるようになってしまいます。さらには、問題を解決できないときに、「環境が悪い」
 「周りが悪い」などと誰かのせいにしようとするようになってしまうのではないでしょう
 か。」    (第2章「手段の目的化」 4 トラブルを学びに変える  81ページ)

 

他にもここで挙げたい内容が多々あるのですがきりがないので、ぜひお手にとって読んで見
てください。教員にとっても保護者にとってもとても有益な本です。工藤先生が民間人校長
ではなく、長年、教育現場や教育行政に身を置かれていた人であるというところにも共感を
覚えました。
福力