受験生とゲストのみなさまへ

2019年09月21日

記録文学②

  

 

前回、記録文学という枠で吉村昭氏の作品を紹介しました。
その作品の中で、最もおすすめなのが、上記の『漂流』です。
江戸時代、猛烈なシケに船を流され、鳥島へたどり着いた土佐の3人の漁師。
その島はまさに絶海の孤島で、周りの海を見渡しても、一隻の船も見当たらない。
その状況が10年以上続くのです。そして1人、1人と仲間は死んでいき、長平1人が生き残り
ます。まさに究極の孤独といってよい状況に追い込まれるのです。
これ以上はネタばらしになってしまうので控えますが、この本を読んで、人が生きるため
には、精神的にまた身体的にどんな事が必要なのか。孤独を生き抜く条件は何か、などな
ど多くの事を考えさせられました。まだ読んでいない人がうらやましい、それくらいオス
スメです。ちなみにこの小説も事実に基づいていますので、その意味では記録文学の枠に
入るものだと思います。最近、長編小説を完読したことがない人も、そのページをめくる
手がとまらないこと、請け合いします。
福力