校長ブログ

2018年04月23日

『子どもたちの階級闘争』①

 

 

 

短い春休みの中で、何冊かの本を読みました。その中で、特に印象に残ったのが、上の写
真にある『子どもたちの階級闘争』という本でした。
著者は在英20年余りの保育士、ブレイディみかこさん。彼女を知ったのは、3月の朝日新
聞に載った「欧州季評」で、そのエッセイは、緊縮路線になった英国で、路上生活者の数
が急増していることを冒頭で取りあげていました。(※朝日新聞3月10日朝刊)
一方、同じく財政危機に陥ってEUから緊急融資を受けたポルトガルでは、「反緊縮」路線
をとり、今、13四半期連続で経済成長を遂げているとのこと。みかこさんは、このポルトガ
ルこそ、混迷する欧州に灯った「希望の光」だと書いています。
このエッセイが、素晴らしい文章だったので、文末にあった彼女の著書を探して上の本にた
どりついたという訳です。

著者のみかこさんは、2008年から2010年までの間、自らが「底辺」と呼ぶ託児所で働いて
いました。この本を読んで一番驚いたのは、「託児所」というミクロな視点から見える英国
の中の「貧困と格差」、そして日本では考えられないほどの「カオス」(混沌)でした。
それらを語る著者の目線は、常に現場(ミクロ)にあり、先の朝日新聞のエッセイが難しい
問題を取りあげながらも、わかりやすかったのは、それが原因だったのかと思い至ったので
す。では、英国の託児所は、今、どんな状況にあるのか?それについて、次回、ご紹介した
いと思います。
福力