2018年08月28日
前回、文藝春秋8月号に掲載された鎌田教授の小論を紹介しました。その内容を一言で
まとめると、日本列島は、1995年の阪神・淡路大震災以後、地震の活動期に入っており、
過去の地震の歴史から推測すると、この活動期は約40年から50年ほど続き、その最終期
に南海トラフによる巨大地震が起こる、という事です。さらに鎌田氏は、日本列島の21世
紀は、「巨大地震が頻発した9世紀の日本に酷似している」とも指摘していました。
小論では、9世紀の貞観地震(869年)を東日本大震災に相当する大地震と仮定し、その9
年後に相模・武蔵地震(M7.4)、さらにその9年後にM9レベルの仁和地震が起きていると
指摘しています。
では、この9世紀の事例を21世紀の日本に当てはめると、どうなるのでしょうか。
2011年の9年後、つまり2020年に首都圏で、さらにその9年後の2029年に南海トラフ巨大
地震が起こる、と鎌田氏は述べています。
もちろん、鎌田氏は「この年数の通りに地震が起きるわけでは決してない」としています
が、その可能性も否定できません。2020年は、言うまでもなく、東京オリンピックの開催
の年です。予測が外れることを望まずにはいられません。
さらに最悪な事に、南海トラフ沿いの地震は約90年~150年おきに発生していると言われ
るのですが、そのうち、「3回に1回は、東海・東南海・南海の3つが連動して同時発生し、
超弩弓の地震を引き起こして」(鎌田氏)きていることが、歴史から分かっているのです。
そのまさに3回に1回のタイミングが、今、発生が予想される南海トラフ地震に当たってい
るのです。
いたずらに恐れてばかりでは、この地震の多い列島の上で生活していけませんが、私たち
は、少なくとも今後20年ほどは、この列島が地震の活動期に入ったことを自覚し、防災へ
の意識を高めるよう不断に努力しておくしか手はなさそうです。
福力