校長ブログ

2019年07月24日

デジタル通貨「リブラ」③

引き続きブロックチェーン(以下BC)について取りあげます。
BCでは、デジタル通貨の膨大な取引を、ハッシュ関数という関数を使って64ケタの文
字列に変換します。このハッシュ関数というのは、ある値を代入して計算するのは簡単
なのに、出てきた値からは何を代入したのかが全く分からないという特徴をもっていま
す。この64ケタのデータをハッシュ値と呼びますが、たとえ取引データの1カ所を変えた
だけでも、ハッシュ値はまるで違うものになります。つまりその特徴が取引データの改竄
を防ぐわけです。
このようにしてセキュリティを担保しながら、膨大な取引を一定の時間ごとにブロック
単位にまとめていきます。なおかつこれらのデータをユーザーで共有し、かつまた取引
全体を承認することで、BCのシステム全体の信頼を保っていくのです。
デジタル通貨で最も有名なビットコインもこのシステムを使っているのですが、裏づけ
となる資産を一切持たないゆえか、価値が乱高下しました。時には短期間で価値が10倍
になるかと思えば、逆に10分の1になるというように。これでは投機の対象とはなっても
広く通貨として使うことは困難です。通貨の最も大事な役割である価値の保持や安定がそ
こにはないからです。
しかし「リブラ」には、VISAやMaster、ウーバーテクノロジーズやbooking.comといっ
た会社がすでに参加を表明し、また米ドルなどの裏づけ資産も用意されているようです。
そこにはビットコインの欠点がふまえられているように思います。

既存のメガバンクのユーザーは数千万人、ビットコインで約4,000万人と言われますが、
Facebookのユーザーは27億人。ケタが違います。実現すると、まさに金融システムに革命
が起こるでしょう。今回の「リブラ」がどのような顛末を迎えるのかわかりませんが、テ
クノロジーの発達は誰にも止めることができない以上、遅かれ早かれ大きな変化はやって
くると考えられます。
福力