校長ブログ

2018年02月14日

冤罪のち次官②

「HERO」という検察官を主人公にした民放のドラマがありました。主役は木村拓哉さん
演ずる風変わりな検事。このドラマは視聴率も高く、映画版までつくられました。最近で
言えば、あのドラマが、私たちの「検察官」に対するイメージに与えた影響は少なくない
と思います。陳腐な言い方であることを恐れずに言えば、「正義の味方」。これがそのイ
メージの中心にあるのではないでしょうか。

しかし、村木氏の証言を読むと、そのイメージは一変します。検事は、嫌疑を否定する村
木氏に対して、「私の仕事はあなたの供述を変えさせることです」と言ったそうです。
そして、「自分たちのストーリーにあてはまる話は一生懸命聞き出そうとするけれど、都
合の悪い話は1文字も書かない。裏付けに使えるか、使えないかの1点のみで証拠が検討
され、使えないものは無視されていく。正義の味方であるはずの検察がです。」(時代の
証言者③ 1月27日付 読売新聞朝刊)
まさに結論ありきの取り調べ。そこには真実は何かという態度は、かけらも見られません。
さらに、「執行猶予がつけば大した罪ではない」と嫌疑を認めるように促します。検察は
こんな風に、自分たちのつくったストーリーに被疑者をはめていこうとするのですね。
素人を20日間拘留して、硬軟織り交ぜた形で説得していけば、無実の人も、そんなものな
のかなと正常な判断を失ってしまうことは、誰にでも起こりそうな気がして恐くなります。
ただ村木氏は、この説得に対して、「あまりに世間の常識や物差しと違いすぎると、泣い
て抗議」したそうです。完全アウェーの環境で、よく正常な判断をされたと思います。

逮捕される寸前、家族の連絡先を聞かれた村木氏は、電話番号を調べるふりをして、海外
出張中の夫の携帯にメールを送ります。それは、漢字に変換する余裕もなかったため、
「たいほ」というひらがな3文字だったそうです。
福力