2017年09月30日
前回も『未来の年表』の序文に触れましたが、この序文に紹介されているまず2つの
「事実」を書いておきたいと思います。
①1920年の初回調査から約100年、2015年国勢調査で日本は初めて人口減少が確認さ
れた。(5年前より約96万3,000人減少)
②2016年の年間出生数が初めて100万人の大台を割り込んだ。(97万6,979人)
著者が述べている通り、数年の単位では、まだ大きな変化は感じられないのですが、
少子高齢化の進行は、50年、100年の単位で見ると、驚くような変化をもたらします。
この本は、第1部を「人口カレンダー」として、これから数年後、あるいは数十年後に
起こる変化を詳細にデータとともに示しています。そのいくつかを紹介しますと、
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
→経済産業省の調査によると、2019年をピークとして、IT関連産業への就職者が退職
者を下回る状況が続く。2030年の不足規模は約59万人に及ぶとされている。この規
模の不足は、社会インフラの維持に支障をきたすほどになる。
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
→2024年、団塊世代が全員75歳以上となる。その結果、国民の3人に1人が65歳以上、
6人に1人が75歳以上となる。毎年の死亡者数は出生数の2倍に。このあたりから急速
に、高齢化が進む。
2027年 輸血用血液が不足する
→これまで10~30代の献血によって血液供給が担われ、50歳以上がこれを利用してき
たと著者は言う。これが少子高齢化が進行すると必然的にバランスが崩れる。しか
も輸血用血液は交通事故などによる使用はごくわずか(3.5%)で、約8割はがんや
心臓病の病気の治療に使われているというから、事態は深刻だ。
今後10年間に限った近未来を取り上げましたが、それでも「少子高齢化」の問題がいか
に大きな問題であるかがわかります。この後、本書では2065年まで、人口減少による問
題のシミュレーションを行っていますが、ページを繰る手は、どうしてもにぶくなります。
さて、それではこのような人口減少に対して、今からうてる対策はあるのでしょうか。
この本では「第2部 日本を救う10の処方箋」で、それらを取り上げています。
その紹介は次回に。
福力