校長ブログ

2017年10月3日

未来の年表③

これから本格的に日本で始まる少子高齢化。それに対してうてる方策は?
今回はその中身についてふれていきます。
まず、労働力人口急減への対策として、巷間よく言われている4つの方策(①外国人
労働者を大量に受け入れる、②AI(人工知能)によって労働力不足を補う、③女性
の労働参加を促す、④高齢者の労働参加を促す)、そのいずれも決定的な切り札とは
なり得ないと河合氏は言います。
※その理由の詳細は、ぜひ本書を読んでみてください。
では、それ以外にどんな処方箋があるのでしょうか。著者が挙げる10の処方箋のなか
から、いくつかを取り上げてみます。

処方箋1 「24時間社会からの脱却」
→これまで便利さのみを追求してきた社会からの脱却。労働力人口が減り、働き手も
 高齢化していく以上、過剰なサービスは見直していく。24時間365日休みなく、と
 いうようなサービスをやめるには、著者も言うように、「顧客の意識を変えること
 こそが最も重要なポイント」となる。
処方箋2 「非居住エリアを明確化」
→人口が急激に減少するなか、人々がこれまで通りに住んでいては、特に地方では、
 行政コストがかかりすぎて、効率がどんどん悪くなる、そしてついには自治体を維
 持することすら危うくなる。それへの対処として、「居住エリアを決めて人々が市
 街地区域に集まって住むようにする」。
処方箋3 「国際分業の徹底」
→著者は「日本は世界の中でも極めて国産品の製品分野が多い国」だと言う。しかし
 これからの人口は急減していく。この対応として、限られた人材や資本を、日本が
 得意な分野に集中させる。つまり人口減少に見合った産業構造に転換するというこ
 とだ。

どうでしょうか。これらは、著者の言う「戦略的に縮む」という5つの処方箋のなかの
3つなのですが、極めつきの方策は以下の処方箋です。

処方箋4 「高齢者を削減する」
→高齢者を姥捨て山に・・・という話ではない。「高齢者」の定義を変えるということ。
 つまり現在、「65歳以上」としている高齢者の定義を、「75歳以上」へと引き上げる。
 同時に、現在「14歳以下」となっている子どもの定義も「19歳以下」とする。

最後の処方箋4は、パラダイムシフトともいうべき方策ですが、処方箋2や3も、政策に
間違いはないのですが、それを成立させるには、相当な政治力が必要で、簡単に実現で
きるとは思えませんでした。
本書を読んで率直に感じたのは、これからの日本は、何よりも「自分さえ良ければ」と
いう考えを払拭することが最も重要だということです。しかしこれこそ、最も実現が難
しいことかも知れません。
福力