校長ブログ

2018年11月2日

本の日②

東京にある小さな書店、幸福書房のことを知ったのは、NHKのラジオ深夜便がきっかけ
でした。その放送で、店主の岩楯幸雄さんは、「昔は雑誌や本が飛ぶように売れたけれ
ど、今は電車の中でも本を読む人は少なくなった」と述懐されてました。
10年ほど前に、元日のみ休むことにしたそうですが、ほぼ1年間無休の書店は、待ち合わ
せの場所になったり、幼い子どもたちが学校帰りに立ち寄る場所でもあったようです。
特に、春から1年生になった子どもは、学校でトイレを我慢して、店に駆け込むようにや
ってきて店のトイレを借りる、ということもよくあったとか。岩楯さんいわく、「1年生
はストレスが特に多いと感じた」
店を閉めるということを公表してからは、多くの人から「なぜ?」「続けてほしい」と
いう疑問、要望が殺到。中には、「資金を出すから続けて」とか、クラウドファンディン
グを立ち上げようという声もあったようです。
この本屋さんのファンの1人でもある有名人が、作家の林真理子さん。林さんの秘書がお客
さんだったことがきっかけで、いつしかこのお店で買った林さんの本は、著書のサインが
もらえることになり、関西からもお客さんが来ていたとのこと。
岩楯さんは、この40年間の歩みを、『幸福書房の40年 ピカピカの本屋でなくっちゃ!』
という本にまとめられたのですが、閉店までの最後の5日間で、この本は2千冊が売れたよう
です。最後の営業の日には、駆け付けた常連のお客さんが、在庫の商品がほぼなくなる中、
「なんでもいい、何か買わせてほしい」とレジに行列ができました。
街中から、今、小さな本屋さんがどんどん消えていってますが、こんな幸せな本屋さんもあ
ったのですねー。
福力