2018年08月7日
なぜこれまでは、給与の低い中央官庁の仕事に、エリートと呼ばれる東大法卒の学
生が集まっていたのか。北岡氏曰く、「国家の運営に携われる使命感と満足感からだ
った。」
しかしこれも今後は期待できないと言う。その理由の1つが日本の財政状況。新規
事業に予算がつかなくなってきているらしい。
さらに、「近年急速に進んだ政治優位の中で、官僚が正しいと信じる政策が、なか
なか受け入れられなくなっている」うえに、「内閣人事局に人事権を握られた今、政
治家にノーといえる官僚は減っている」。今年の流行語になりそうな「忖度」という
言葉。それは、まさに官僚の現状を表したものでした。つまるところ、エリートの学
生がやる気を出して働けるような環境にはなっていないということなのでしょう。
他国の公務員はどうなのでしょうか。北岡氏によると、一番給与の高いシンガポー
ルでは、次官クラスの年収は優に1億円を超えるといいます。英仏独の処遇も、日本
より良。ともかくこれらの国には、「優秀な人間を厚遇して働かさなければ国民が不
利益を受ける」という考えが基本にあるといいます。その例外は、超大国の米国と、
そして日本だけ。
東大法学部の凋落の原因は、このように外部環境に大きな原因がありますが、東大
内部にも一定の責任があると北岡氏は言います。それについては次回。
福力