2018年08月8日
東大法学部の凋落とは言っても、先に書いたように、東大文科1類の偏差値は、今も文系
最高峰。ゆえに「黙っていても優秀な学生が進学してきたので、惹きつけようという努力が
足りない」と北岡氏は言います。また東大法学部の怠慢の証左として、以下のような点を指
摘しておられます。
・東大の憲法学
→ほとんどが日本国憲法の解説に止まっている。国家の基本法である憲法を学ぶには、「日
本をより良く運営するにはどうすべきか、世界の大きな変化にどうすれば対応できるか」
といった議論がもっと必要。
・4つの「無い」
→外国語の授業がほとんどない。外国人教授や実務経験者がほとんどいない。女性教員や外
国人学生も極めて少ない。北岡氏は、これらが東大の世界ランキングが下がり続けている
大きな理由と指摘し、特にこれらの特徴が法学部で著しいとする。
もともと国家の政策として設置された趣の強い東大法学部。ゆえに以前から、何かと批判
されることも多いのですが、今回の北岡氏の批判は、当初の存在意義が大きく変化している
ことを指摘したもので、これまでの批判とは少し視点の違うものとなっています。
まずは、大学が改善に向けた努力をすることが必要だと思いますが、②で書いたように、
大学の改革とは別に、私たちももう少し「優秀な人間を厚遇して、国家のために働かせる」
という視点をもつべきではないかと考えさせられました。
福力