校長ブログ

2018年06月30日

AI vs 教科書が読めない子どもたち③

前回の続きです。
なぜシンギュラリティは来ないと断言できるのか?
新井教授は、次のように説明しています。
まずAIはコンピュータである、そしてそのコンピュータは計算機である。ゆえに、
「できることは基本的には四則演算だけです。AIには、意味を理解できる仕組みが
入っているわけではなくて、あくまでも、「あたかも意味を理解しているようなふ
り」をしているのです。しかも使っているのは足し算と掛け算だけです」
                             (本書107~108ページ)
 繰り返しになりますが、AIには数式で表されるものしか処理できない、意味を理
解しているように見えても、それはあくまでも数式に変換されたものを計算してい
るに過ぎない、ということなのです。AIを支えている原理は、徹頭徹尾、数学のそ
れであり、ゆえに数学の原理を超えたものを理解することはできないのです。

新井教授は、数学の歴史を紐解いて、次のようにまとめています。
「論理、確率、統計。これが4000年以上の数学の歴史で発見された数学の言葉の
すべてです。そして、それが、科学が使える言葉のすべてです。」
そしてその数学の原理に欠けていること、それは、
「意味を記述する方法がないということです。」(117~119ページ)と。
つまり、「人間なら簡単に理解できる、「私はあなたが好きだ」と「私はカレーラ
イスが好きだ」との本質的な意味の違いも、数学で表現するには非常に高いハード
ルがあります。」
「私たちの脳が、意識無意識を問わず認識していることをすべて計算可能な数式に
置き換える」ことができなければ、AIが人間と同等の知能を得ることはできません。
話は最初に戻りますが、それゆえにシンギュラリティは来ないと、新井教授は断言
します。
しかし、問題はむしろその先にあるのです。つまり、逆に言えば、数式に置き換える
ことのできる仕事は、すべてAIによって代替可能だということです。そ
してその仕事の範囲は、AIの発展とともに急速に広がってきているのです。
福力