2017年08月17日
一昨日は、戦後72年の終戦記念日でした。
テレビや新聞はこの時期になると、こぞって戦争関連のニュースやドキュメンタリー
を放送します。
私もそのいくつかを目にしましたが、NHKで放映された「戦慄の記録 インパール」
は衝撃的でした。インパール作戦は、かなりの距離の行軍で、多くの犠牲を出した作戦
だとは知っていましたが、このドキュメンタリーは、兵士が行軍した道なき道を追い、
かつまたこの作戦に参加し奇跡的に生き残った人、イギリス軍等による尋問の記録等を
丹念に追跡し、その全貌を見せてくれました。
太平洋戦争中、最も無謀と言われたインパール作戦。その犠牲者の6割が、戦闘による
ものではなく、作戦中止後の病死、餓死によるものだったといいます。
作戦を強行し、失敗に終わった後、多くの兵士を置き去りして帰国した第15軍司令官牟
田口廉也中将、作戦の立案書に署名捺印するも、戦後のイギリス軍の尋問に「いかなる
計画も立案していない」と抗弁した大本営作戦課長の服部卓四郎大佐。この2人に、軍
上層部の無責任さが象徴されているように思います。
当時の司令部での司令官の発言や態度を詳細に記録し、メモに残していた齋藤博圀少尉。
今回の番組は、この齋藤さんが残した膨大な記録が、全体の大きな柱になっていました。
マラリアに感染して前線に置き去りにされた齋藤さんは、チンドウィン河の岸で生死を
さまよった後、連合軍の捕虜となり、奇跡的に九死に一生を得ます。
番組の最後、齋藤さんが嗚咽しながら当時の軍上層部の、兵士を人間としてではなく、
単なるモノ扱いした考えを「悔しいけれど、そんなもんです」といった声が、忘れられ
ません。
福力