校長ブログ

2021年09月23日

情報の真偽をどう見極めるか③

なかなか真偽の見極めが困難な情報がネット上にあふれる現状について、最後に専門
家の意見が取り上げられています。東京女子大学の橋元教授は、不安な状況にある人
間の心理について、いくつかの特徴を挙げておられます。その1つ目が「感情の正当
化」。コロナ禍が長引いて不安が消えないと、人はなんとかその原因をつきとめて、
一時的な心理的安定を得ようとするといいます。しかもそれらの情報を集める際、人
は自分の意見に合致する情報を集めようとします。これが「確証バイアス」といわれ
る認知のゆがみです。
またSNSの閉じた空間で何かを発信すると、反響するように似た意見ばかりが返って
くる「エコチェンバー」という現象もおきます。「大多数の人には怪しげな情報でも
その空間にいる人たちは「みんなが言ってるから正しいに違いない」と錯覚しやすく
なっている」(橋元氏)

東京大学の開沼准教授は、今回の事態は、不確かな情報が大量に拡散された場合、国
はどう対策すべきかという課題を突きつけている、と指摘します。
デマや不確かな情報は容易に拡散されるものの、それを正すための正確な情報発信に
は時間も手間もかかる。ましてや「政府やメディアが真実を隠している」という言説
と誤情報がセットで流されると、国の公的機関がデータを示して科学的説明をしたと
しても、もはやそれすら信用されないということが起こってきます。
誰もが容易に情報発信できる現代だからこそ、昔のデマや流言とは違って、それを打
ち消すことは困難になってきているのが現状と言えるかも知れません。
私たちが心掛けたいのは、サイバー空間は言うまでもありませんが、現実世界でも、
できるだけ閉じた人間関係の中だけで判断するのは避けるということになるでしょうか。
福力