校長ブログ

2021年04月19日

第1学期始業式

アップロードするのが大変遅くなりました。申し訳ありません。
1学期始業式での挨拶を以下に挙げます。

 

みなさん、おはようございます。4月になり、中学校・高等学校ともに多くの新入生を
迎え、新しい学年が始まりました。在校生はそれぞれひとつ上の学年に進級し、新たな
目標を立てていることと思います。

 何年か前の始業式で、「散歩の途中で富士山に登った人はいない」という言葉を紹介
しました。この言葉の意味は、わかるでしょうか。

 富士山という高い山に登るためには、準備が必要です。服装、装備、食料などなど、
計画を立てないで富士山のような高い山に登ろうとする人はいません。つまり、高い目
標を達成するには、事前の準備・計画が必要だということです。年度の始めにあたって、
まずみなさんは、高い目標を持てていますか?そしてそのための計画は立てていますか?
まだの人は、ぜひこの4月に目標を、そしてそのための計画を立ててください。

 

 さて一方で、皆さんも知っているとおり、緊急事態宣言が解除された後、大阪府でのコ
ロナウィルス感染者の数が急増しています。この急増の原因はいろいろ推測されています
が、コロナウィルスがRNA型であるために、ウィルスの変異が起こりやすく、その変異ウ
ィルスが感染力を増しているというのもその一因であると考えられています。一説による
と、このウィルスの変異速度は、ヒトゲノムの進化速度の100万倍とも言われています。
もともとこのウィルスが変異しやすいということは、当初から予測されていたことなので
す。

ほとんどの人がワクチンの接種ができていない現状では、引き続き、マスクの着用、手洗
いうがいの励行に努めるしかありません。もしウィルスの感染力が増していると仮定する
と、昨年度よりもその励行を強化しないといけないかも知れません。学校生活を止めるこ
となく安全に過ごすためにも、昨年に引き続き、みなさん一人ひとりの協力をお願いしま
す。

 

 ウィルスの感染防止に努めなければならない生活が1年続いたことで、私たちの学校生
活もいろんな点で制約を受けています。そのひとつが、マスクの着用です。マスクをつけ
ていることで、私たちはお互いにその表情が見えにくくなっています。人は、言葉だけで
はなく、身振り手振りやその表情で相手の感情や意思を判断します。この言葉によらない
コミュニケーションを、ノンバーバルコミュニケーションといいます。対人関係のコミュ
ニケーションでは、言葉によるコミュニケーションよりも、言葉によらないこのノンバー
バルコミュニケーションが、時には重要な役割を果たしています。その中でも、人の表情
は、特に大きな役割を持っています。それが見えないことで、コロナ以前よりも言葉の誤
解が生じやすい、ということを私たちは知っておく必要があるでしょう。特に新入生は、
まだお互いをよく知らない状態から、少しずつお互いを知っていく過程にあります。その
過程で表情が見えないということは、とても誤解がおきやすいということを知っておいて
ください。こわそうに見える人も、本当はとても優しかったり、怒っているようにみえて
も本当は不安なだけだったり。そんな誤解はお互いに起こっている、そのことに気をつけ
て学校生活を送ってください。

 

 感染者に対する偏見や差別も後をたちません。ここまで感染者が増えると、どれだけ注
意していても、私を含め、誰でも感染する可能性はあります。体温をはじめ、体調に不安
を感じたりしたときは、無理をせず休息をとるようにしていください。思い切って学校を
休むことも、時には大事です。万一、感染したかなと思ったときは、一人で悩まず、先生
に相談してください。またまわりの人は、感染者に対していたわりの気持ちをもつことを
忘れないようにしてください。

コロナウィルスに感染した人が、病気そのものではなく、まわりの人からの偏見や差別に
恐れなければならないなんて、それは人災以外のなにものでもありません。中学生には人
災という言葉は難しいかも知れません。自然やウィルスが起こす災害ではなく、人が原因
でおこる災害を人災といいます。ウィルスに感染して苦しむだけではなく、そのあとも周
りの人の偏見や差別に苦しめられる、これが人災です。感染予防を徹底しつつも、感染し
た人にいたわりや思いやりの気持ちをもつ、そんな学校であってほしいと思っています。

 

 最後に皆さんにとって、もはやなくてはならないツールになっているiPadについてお話
しておきます。この4月から日本全国の小中学校で、GIGAスクール構想の名のもと、1人
1台のタブレット端末が配布され使われ始めています。この青凌では、約4年前から生徒全
員が学習ツールとしてiPadを使うようになりました。昨年、この青凌でiPadが使われている
状況を見学に、全国からいくつもの学校が学校見学に訪れました。この4月からの運用を前
にして、先行して使われている学校の状態を見にこられたのです。来校された先生の多くが、
皆さんがiPadを使ってノートをとったり、学習動画を自習に使ったりしている様子に驚かれ
ていました。大げさに言うと、皆さんはGIGAスクール構想の先行モデルなのです。ですから、
中学生を含めて、自分を高め目標を達成するために有意義にこのツールを使ってほしいと思
います。このiPadというツールは、使い方によっては学習の大きなサポートになる反面、使
い方を間違うと、時間を浪費し、自らが立てた目標から遠ざかってしまうことにもなります。
何のためのツールなのか、そこをよく理解して使うようにしてください。

また扱い方も丁寧に。普通に使っているかぎりは、そんなに故障することはありませんが、
乱暴にあつかったり、iPadにたくさんのものを置いたり、左右から圧力をかけたりすると、
精密機器ですから、当然ながら異常がおきやすくなります。物理的に画面が割れたりもしま
す。実は昨年だけで、iPadの故障件数は200件を超えています。その大半が、iPadを鞄につめ
こんで物理的に圧迫を加えた結果、起こったものです。一時使えなくなるだけで、皆さんも
かなり不便になるはずです。また2回目から修理は有償になります。日ごろからもっと丁寧に
扱うよう心掛けてください。

 

 それではこれで新しい学年、1学期の始業式の私のあいさつを終わります。ありがとうご
ざいました。