校長ブログ

2022年02月18日

第37期高等学校卒業式②

式辞 

 

2月になり、朝夕、長くなった日差しの明るさは、なかなか落ち着かない世の中にあっ
て、いつもどおり四季が巡っていることを私たちに感じさせてくれます。今年の春の到
来は、いつにもまして私たちに安堵と希望の気持ちを運んできてくれるように思います。

 本日、このように多数の保護者の皆さまのご臨席を賜り、大阪青凌高等学校第37回
卒業式を挙行する運びとなりました。卒業式を挙行できますこと、これは私たち教職員
にとりまして大きな喜びです。高い席からではございますが、ご列席の皆さまに厚くお
礼申し上げます。

 

 ただ今、卒業証書を授与された37期生のみなさん、あらためて卒業おめでとう。皆
さんが今日受け取る卒業証書に、この3年間が皆さん一人一人にとってどのような日々
だったのだろうかと想像しながら、今年も一人一人の名前を書かせてもらいました。
証書はいわば一枚の紙なのですが、皆さんが3年間の学業を終えたという大切な証です。
あとで証書を見て、今一度、その達成感を感じてほしいと思います。

 保護者の皆さまはいかがでしょうか。子どもたちが精神的に自立していく時期にあたる
この3年間、多くの方が、お子様が幼いころとはまた違ったご苦労があったのではないか
と思います。またこの約2年間、感染対策において、さまざまなご協力をいただきました。
あらためてお礼申し上げるとともに、今日、こうして卒業式を無事に迎えられたことに、
お喜びを申し上げたいと思います。

 

 さて、37期生の皆さん、振り返れば、新型コロナウィルスという感染症が、日本にそ
して世界に静かに広がり始めたのは、皆さんが1年生を終えようとする頃でした。それは、
ちょうど本校が高槻市から島本町に移転を終えようとする時でもありました。それから約
2カ月間の臨時休校。当時、まさかこの感染症が君たちの卒業時まで収束していないなど、
誰も想像できなかったことと思います。大切な思い出になるはずの体育祭はじめ多くの行事
は、中止や縮小に追い込まれました。その中で、私も引率教員として参加した修学旅行。
行先は変わりましたが、皆が協力しあった結果、感染クラスターも発生することなく無事
終えることができました。今振り返ってみると、それは奇跡的なことだったようにも思え
ます。

 

 世界に目を転じると、ウィルスの感染拡大は、アジア人への偏見や差別、ワクチン接種
をめぐっての人々の分断、南北格差問題の顕現など、さまざまなマイナスの副次的作用を
生み出しました。人と人との交流を最大限抑制するという政策は、経済活動の停滞や不況、
また人々のメンタル面での不安定さも引き起こしています。未知のウィルスに対するデマ
や流言の類も、多数発生しました。これらは、危機に際して、事実やデータに基づいた議
論がいかに重要であるかということを私たちに再認識させてくれたようにも思います。

 

 一方、この未知のウィルスに対して、人類はこれまでにない異例のスピードで対応して
います。イギリスのネイチャーやランセット、米国のサイエンスといった科学および医学
系のジャーナル紙が、このウィルスに対する科学的知見の共有の場となり、その対応を支
えています。ワクチンもこれまでにはないスピードで、しかも従来のワクチンとは全く違い、
m-RNAといういわばウィルスの設計図を接種するという形で開発されたことは、皆さんも
知ってのとおりです。

さらに急激な感染拡大にともなって、これまでさまざまな規制によって進まなかったビジネ
ス分野でのテレワークや、医療・教育分野でのICT化が急速に進んでいます。この変化の流
れは、感染が収束しても止まることはなく、むしろ加速していくことでしょう。結果として、
学校を含め社会の構造は、今後大きく変化していくことが予想されます。

 

そのような世の中の流れの中で、皆さんに必要な心がけは何でしょうか。それは「学び続け
る」ということです。正解のない問いに答えるために勉強することを「学問」と定義すると、
皆さんは高校卒業の今、まさにその入口に立っていると言えます。受験勉強の最中に感じた人
もいると思いますが、誤解を恐れずに言えば、「学ぶ」ということは最大の娯楽です。これか
らも「ひとつ上の自分」を目指し、学び続けていってください。そして学ぶということに、こ
れまで以上に喜びを感じてほしいと願っています。

 最後になりましたが、保護者の皆さまには本校の教育活動に対し、あたたかいご支援とご協
力を頂きましたこと、あらためてこの場を借りまして、お礼申し上げます。今後とも大阪青凌
にご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い致します。

 以上、第37期卒業生の前途を祝し、皆さんが健康で豊かな人生を歩まれることを祈念しま
して私の式辞といたします。
                      令和4年2月18日 
                           大阪青凌高等学校
                                  校長  福力 稔