2026年7月22日

2026年度一学期終業式あいさつ

CATEGORIES:青雲凌雲(校長ブログ)

 生徒のみなさん、おはようございます。本日1学期終業式を迎えました。

 今、エクセルホールで中学生のみなさんの前でお話しています。高校の各クラスに配信してもらっています。よろしくお願いいたします。

 今日は、福井県の高校生の話をしたいと思います。2020年11月27日に、野口聡一宇宙飛行士が、ISS国際宇宙ステーションから1本の動画をYouTubeに投稿しました。「福井県の若狭高校のみなさんが作ってくれた『さば缶』です。これは汁が出てきません。大変おいしいです。ジューシーで、しょうゆの味がしっかりしみてます。高校生のみなさん、ありがとうございます。」

 このお話は、テレビでドラマ化され、先月まで放映されていました。歴代の先輩たちから引継いだ14代目の生徒たちが、さば缶をついに宇宙へ届けました。

 「宇宙さば缶」の開発は2006年にスタートしました。現若狭高校海洋科学科の前身は、小浜水産高校です。小浜水産高校は、日本で一番歴史のある水産高校ではありますが、当時は定員割れの教育困難校でした。「宇宙さば缶」の物語は、新任教師である小坂康之先生が赴任した時から始まります。小浜水産高校では、明治時代から、さば缶を製造していましたが、小坂先生は校内の食品の品質衛生管理を向上させたいと思いました。そこで、N ASAが開発した宇宙食製造の食品管理基準であるHACCP(ハサップ)の認証を取得したいと考えます。食中毒や異物混入などのリスクを低減するために、生徒たちは、作業工程中、温度の記録、包丁や機械のチェックなど、確認作業を人の手で、自分たちが考えたやり方で徹底的に行いました。エアシャワーなどないので、100円ショップで購入した「コロコロ」で、全身、作業着のほこりを丁寧にとりました。そして、2006年、低予算で高校がHACCPを取得するという快挙が成し遂げられました。当時の生徒が言った「ここで作ったさば缶を宇宙に飛ばせるんちゃう?」という一言から、いよいよプロジェクトが始まります。

 一時、廃校の危機があったのですが、小浜水産高校が若狭高校に統合され、約4年の空白期間を経て「宇宙さば缶」の開発が再開されます。生徒たちが次に工夫を重ねたのが、缶の中の調味液に粘度を高める、とろみをつけることです。そうでないと、宇宙空間で缶を開封した際に液が飛び散り、宇宙船の機械を壊してしまいます。ゼラチンなどいろんなものを試しましたが、福井県名産の葛粉が適していることを突き止めます。そして、2014年、第一段階の「宇宙日本食候補」に選ばれ、1年半の保存検査をクリアします。そして、次のミッションは「宇宙に行ったときに、よりおいしく感じられるように味を地上より濃くすること」でした。糖分を強めてレシピが完成し、2018年11月に若狭高校のさば缶が33番目の宇宙日本食としてJAXAから正式に認証されました。高校生が開発した食品が認証されたのは、世界で初めての快挙です。

 14年間、小坂先生は、生徒たちに決して強要せず、あくまでも生徒たちが自主的に探究を進めるのを見守っていました。「宇宙食」という夢を共有し、歴代の生徒たちがいろんな発想や失敗を重ねて、14年間、次の代にバトンを渡し研究と開発を続けてきました。

今日は、夢を叶えた、福井県の高校生の話をしました。

 終わりに、今年の夏も猛暑が予想されます。生徒のみなさん、夏休みは生活のリズムを崩さず、体調管理をしっかりとしてください

1学期終業式にあたり、私の話は以上です。ありがとうございました。